前回からシード食とペレット食についてお話をしています。
今回はペレット食のメリットとデメリットにスポットを当ててお話をしてきます。
まず「ペレット」とは、鳥さんに必要な栄養素をバランスよく配合した人工的な飼料です。
昨日のブログで「シードにはビタミンやミネラルがほとんど含まれていない」というお話をしましたが、ペレットにはビタミンやミネラルもちゃんと含まれています。
そのため、ペレットを与えていればサプリメントなどを併用する必要はありません。
また、シードの種類によって脂質が多いものがあり、そればかり食べてしまうことで栄養の偏りが起きてしまうということも昨日お話しましたが、1つの銘柄のペレットはどの粒を食べても味も栄養も同じです。
必要量をちゃんと食べていれば、鳥さんの健康に十分な栄養を安定的に与えることができます。
このように、ペレットのメリットの1つ目は、栄養面が非常に優れていることです。
シードの場合は、複数種類与えたシードのうち、どの種類を優先的に食べていて、どの種類をまったく食べていないのかを確認して、それによって足りていない栄養素はどれか、過剰に摂取している栄養素はどれか、バランスよくするためにはどうしたらいいか…といったことを考える必要がありました。
でも、ペレットであればそんな難しいことを考える必要はありません。
バランスよく栄養素が配合されているので、とりあえずちゃんと食べてさえいてくれれば栄養面については安心できます。
また、ペレットにはいろいろな種類のものが市販されていて、例えば、高カロリーなタイプなものもあれば、脂質を抑えた低脂肪タイプなものもあります。
換羽期などエネルギーを必要とする期間には高カロリータイプを与えたり、少し太り気味の子に対しては低脂肪タイプを選んだりと、その子の状態や年齢に合わせて最適な栄養を与えることができるというのもペレットの強みだと思います。
ペレットのメリットとしてもう1つ挙げられるのは、消化の良さです。
ペレットは一度粉砕したものを固めてあるので消化がしやすいです。
消化がしやすいということは胃への負担が少ないということになります。
病院での処方食としてもペレットが使われていたりするのは、栄養面の観点からだけでなく、身体への負担が少ないことも理由なのかもしれません。
このように完璧に思えるペレット食ですが、やはりデメリットもあります。
1つ目のデメリットは、人工物であるため、鳥さんによってはなかなか食べてもらえないということです。
ペレットは鳥さんからしたら「え、何これ…?」というものです。
初めて目にしたときは、まさかこれがご飯だとは思わないんだと思います。
これをご飯だと思ってくれるまで、かつ、シードの代わりにペレットを食べてくれるようになるまでには、それなりに時間がかかります。
ペレットを食べるようになった子でも、たまに何かのきっかけで急に食べなくなることもあります。
シードと違って、殻を剥くといった楽しみもありません。
嗜好性の面ではどうしてもシードに負けてしまいがちです。
2つ目のデメリットは、飲み込みにくいということです。
大きさによってはそのう停滞を起こすこともあります。
どうにも飲みにくそうにしている場合は、人が砕いてからあげるか、サイズの小さいものを与えるようにすることで回避できます。
また、鳥さんによっては、食べやすくするためにペレットを水に浸ける子もいます。
その場合、ペレットと一緒に水を飲むことになり、その影響で飲水量が増え、多飲多尿になることがあります。
多飲多尿が直接身体に悪影響を及ぼすということはありませんが、例えば糖尿病からくる多尿を見逃してしまうといったことがあるかもしれません。
多飲多尿が著しい場合は様子を注意深く観察する必要があります。
3つ目のデメリットは、突然の欠品が起こりうるということです。
最近では国産のペレットも出てきていますが、メジャーな銘柄は海外メーカーのものです。
そのため、海外情勢によってなかなか国内に入ってこないという状況が起こりえます。
いつも食べ慣れている銘柄が欠品になっている間、他のペレットでしのごうとしても、他のペレットに食べ慣れていないとなかなか食べてもらえないということも考えられます。
そういった事態を回避するために、ペレットを与えているお家では、複数のペレットを与えて、どの銘柄でも食べられるように普段から慣らすといったことをされている方が多いようです。
さあ、どうですか。
昨日はシードについて、今日はペレットについてお話をしてきました。
シードとペレット、どちらがよいと思われますか?
私は「こっちがよい」という明確な答えはないと思っています。
確かに、栄養面で見ればペレットを与えるのが正解な気がします。
ただ、シードにはシードの良さもあります。
いくら飼い主さんが「ペレットがいい」と思って与えても、鳥さんが食べてくれなければ意味がありません。
鳥さんごとに最適なご飯の形があると思います。
いろいろなご飯を試してみて、鳥さんにとって「最高に幸せなご飯」を見つけてあげてください。
※音声が出ますのでご注意ください