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【インコさんの育て方】「共同育雛」という素敵な育て方のお話

生活

先日、認定NPO法人TSUBASA主催の愛鳥塾に参加してきました。
そこで、momo farm代表の高橋桃子さんによる「共同育雛」のお話を聞いてきました。
このお話がとても良く、考えさせられる内容でした。
そこで、今回と次回の2回にわたり、「共同育雛」の話を軸にお話させてもらおうと思います。

お話を始める前に、高橋桃子さんについて少しだけ紹介させていただきます。
高橋桃子さんは、自然豊かな広大な土地でたくさんの生き物と暮らしながら、「共同育雛」という方法でシロハラインコさんのブリーディングをされていらっしゃいます。
下に高橋桃子さんのInstagramアカウント、momo farmさんのサイトへのリンクを貼っておきます。
シロハラインコさんのブリーディングや活動内容など詳しく知りたい方は、リンク先を覗いていただけたらと思います。

さて、この「共同育雛(きょうどういくすう)」という言葉。
大半の方にとっては聞き慣れない言葉だと思います。
生まれた雛鳥さんを親鳥さんから離して、人が雛鳥さんを育てるのが「人工育雛」です。
これが一般的な雛鳥さんの育て方です。
それに対して「共同育雛」は、「親兄弟と離さずに雛鳥さんを育てる」という方法です。

この方法で育てることによって、大きく2つの利点があると私は思っています。

まず1つ目の利点は、「親兄弟と過ごすことによる恩恵」です。

共同育雛では、雛鳥さんは親鳥さんからたくさんの愛情を受けて育ちます。
雛鳥さんなので「甘えたい」と思うこともたくさんあると思います。
そんなとき、親鳥さんがすぐそばにいるので、ちゃんと甘えることができるんです。
甘えたいときにちゃんと甘えるという経験を豊富に積むことで、「もうちょっと甘えていたかったんだけど…」という心残りなく、「もう十分甘えたし大丈夫!」と自信を持った成鳥になるのだそうです。

きょうだい達と一緒に育つということも、雛鳥さんにとってとても大きいことです。
「ぼくはこんなことできるよ!」
「ぼくはこんなところまで来ちゃった!」
「ぼくはもう飛べたよ!」
競い合うようにいろいろなことにチャレンジしたり、きょうだいがやることの真似をしたり。
そういったたくさんの経験を積みながら社会性も学んでいきます。

そして、ごはんは親鳥さんから吐き戻しでもらいます。
親鳥さんが吐き戻したごはんには、親鳥さんのそ嚢(そのう)にある粘液や良質な細胞が混ざっています。
粘膜によって雛鳥さんにとって食べやすいごはんになり、加えて良質な細胞を摂取することで免疫力も高まります。
人による挿し餌の場合は、そういったことの再現が難しいだけでなく、誤嚥(ごえん)やそ嚢(そのう)を傷つけてしまうなどの事故の危険性がつきまといます。
食べやすさ的にも栄養的にも恵まれているごはんを親鳥さんから安全に食べさせてもらえるのは、雛鳥さんにとってとても幸せなことなんだと思います。

このように親兄弟と一緒に過ごすことで、雛鳥さんは社会性も学びつつ身体も心も満たされて育つことができます。

2点目の利点は、「性的刷り込みの回避」です。
性的刷り込み…って少し難しい言葉なので説明していきます。

鳥さんは”晩成性”の生き物です。
“晩成性”とは、孵化した時にほとんど羽が無く目も開いていない状態で、育つためには親の保護や給餌を必要とする性質です。
この”晩成性”の生き物は、育ててくれた相手を「将来のペア」と認識する性質があるのだそうです。
この性質が先ほどお話に出てきた「性的刷り込み」というものです。
雛鳥さんを親鳥さんから完全に離して人が育てると、この「性的刷り込み」が進み、鳥さんは育ててくれる相手(飼い主さん)を「将来のペア」と見なすようになります。
その結果として、鳥さんが人に懐いたり仲良くなってくれているように見えるわけです。
これが「挿し餌で育てると鳥がよく懐く」と言われるゆえんです。

これは一見すると嬉しい結果に思えるかもしれません。
でも、鳥さんからすれば「育ててくれた相手=将来のペア」という認識になっているわけです。
その状態でペアである飼い主さんが近くにいない時間が続けば、鳥さんはとても寂しく感じてしまうかもしれません。
その寂しさから激しい呼び鳴きや毛引きを引き起こしてしまうことも考えられます。

「共同育雛」は、親鳥さんが雛鳥さんを育てるので、鳥さんが人をペアと認識してしまう「性的刷り込み」の危険性を回避することができます。
この「性的刷り込みの回避」は、「人工育雛」では得られない「共同育雛」ならではの大きなメリットです。

このように「共同育雛」は、様々な面においてメリットが多く、鳥さんにとっても人にとっても幸せな鳥さんの育て方なのです。

そんな講義を聞きながら、私は「確かにこれは素敵な方法だなぁ」と思いました。
でも、それと同時に、「でもさ、このお話が僕にとってどう役に立つんだろう?」という疑問も頭の中に浮かんでいました。

うちのコザクラインコのトリちゃんも、ウロコインコのマメちゃんも、私が挿し餌をして育てました。
そういう意味では、「性的刷り込み」がされてしまっているかもしれません。
トリちゃん、マメちゃんに限らず、うちの鳥共はみんな共同育雛以外の方法で育った鳥さんです。
親鳥さんの愛情を十分に受けられず、きょうだい達との時間も大して持たずに育ってきたのかもしれません。

「今さら共同育雛の話を聞いたところで、うちの鳥共にとってはもう関係ない?」
「いやいや、この話を鳥共のお世話に活かすことができるんじゃないかなぁ」
「だとすると、共同育雛のお話から得られる気付きは何だろうか…?」

私は愛鳥塾の会場を後にしてからずーーーーーっと考えました。

そして、ようやく私なりの答えにたどり着きました。

その答えは………………次回に続きます。

思わせぶりな終わり方で申し訳ないです。
ただでさえ今回長くなってしまったのに、結論まで書くとさらに長くなってしまうし、そうなると多分読む気をなくす方が多くいらっしゃると思うので。

次回のブログ公開まで1週間あります。
きっと、みなさんのおうちにいる愛鳥さんの多くが、共同育雛とは異なる方法で育ってきた子たちだと思います。
そんな鳥さんに今回のお話がどう活きるのか。
今後の愛鳥さんへのお世話にどう活かせるのか。
ぜひみなさんも考えてみてもらえればと思います。

※音声が出ますのでご注意ください


もしよかったら、今回のブログを読んでの感想をお寄せください。


鳥月 羊

伴鳥家(はんちょうか)の鳥月羊です。 小型から大型まで4羽のインコさんと生活しています。 インコさんと一緒に過ごす中で、様々な困りごとを経験してきました。 そしてそれをいろいろな方法で解決して、今ではインコさんととても仲良く暮らしています。 これまでの自分の経験を活かして、インコ好きさんのインコライフをさらに楽しいものにしたい。 インコさんと「生涯の相棒」と呼べるような関係性をゆっくりと楽しんでもらいたい。 そんな気持ちで情報を発信したりイベントを企画したりしています。 「ずっと、いっしょに、生きていく」 生涯の相棒インコと寄り添える生活を愛鳥家さんと一緒にデザインしていきます。

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