先日、「『3秒ルール』を意識するといいと思うよ」といったお話をさせていただきました。
「食べ物が床に落ちても3秒以内だったらセーフだからオレは食べちゃうぜ!」
…っていう話ではありません。
「カキカキされている鳥さんが『クドいんだよ!』と気分を変える前にカキカキをやめよう。そうすることで突然ガブッとされる機会が減り、噛み癖に繋がることを予防できるんじゃないかなって思うよ。だから鳥さんと接するときには『3秒ルール』を意識してみて」
…っていうお話でした。
こちらの回に興味がある方、もしくは、「もうどんな話だったか忘れちゃった」というつれない方は、下にその回へのリンクを貼っておきますので、そちらから読んでみてください。
さて、今回はタイトルにもある通り、また「○秒ルール」についてのお話です。
題材としては先日のブログと同じ「○秒ルール」ですが、今回は鳥さんにごほうびをあげるときのコツとしてのお話です。
話はガラッと変わりますが、こんなことを想像してみてください。
あなたは友人とカフェに来ました。
友人より前を歩いていたあなたは、お店の入口の扉を開け「どうぞ♪」と先に友人を通そうとしました。
するとその友人は、さも当たり前のような表情で何も言わずにあなたの前を歩いて店内に入っていきました。
店内は混んでいたので、入口付近の椅子で少し待つことになりました。
数分後、「席のご用意ができましたのでこちらへどうぞ」と店員さんに導かれ、ようやく席に座れました。
席について何を頼もうかメニューを見ていると、「ありがとう」と友人が言いました。
「え? 何?」と聞くと、友人は「いや、さっき扉を開けて先に通してくれたでしょ?」と答えました。
「あ、う、うん、全然いいよ」
あなたがなんとなく不思議な感覚に包まれていると、「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるね」と友人が席を立ちました。
「はいよー」と友人を見送っていると、友人のカバンからハンカチが落ちました。
友人はハンカチを落としたことに気付かずトイレに行ってしまったので、あなたはすぐにハンカチを拾いに行きました。
トイレから帰ってきた友人に、「さっきハンカチを落としたから拾っておいたよ」とハンカチを差し出しました。
すると友人は何も言わずにそのハンカチを受け取りカバンにしまい、「何にしようかなぁ」とメニューを見始めました。
少しして、友人が「よし、私これにする!」と言い、店員さんを呼び二人分の注文をしました。
「少々お待ちください」と店員さんがメニューを下げて帰っていたとき、友人が「ありがとう」と言いました。
「え、え? 何が?」と聞くと、友人は「だってハンカチ拾ってくれたじゃない」とにこやかに言いました。
どうですか?
なんとなく不思議というか、どことなく気持ち悪い感じがありませんでしたか?
何か気持ち悪かったかって、友人の「ありがとう」を言うタイミングではなかったですか?
ドアを開けてもらって先に通してもらったのに、そのときには何も言わず、数分後に「ありがとう」って言ってみたり。
拾ってもらったハンカチを受け取ったときには何も言わず、それに対する感謝の言葉を言ったのもやはり少し時間が経ってからでした。
みなさんが実際にこういう経験をしたら、どう思われますか?
私はやっぱり何となくモヤモヤすると思うんです。
なんでこんな話をしたかというと、鳥さんも同じなんです。
例えば、あなたが「ここにおいで」と鳥さんに言って、鳥さんが言うことを聞いて来てくれたとして、でもそれに対してあなたが何も言わなかったら、鳥さんはきっとモヤモヤすると思うんです。
特にトレーニングにおいては、言うことを聞いくれた鳥さんにごほうびをあげるタイミングってとても大事なんです。
ここでタイトルにある「4秒ルール」についてお話しようと思います。
犬君のトレーニングの世界では、「犬君は、4秒経過すると、行動と結果を関連付けることができない」と言われています。
どういうことか簡単に言うと、例えば、人が「おすわり」と言って、犬君がおすわりをしたあと、すぐにごほうびをあげると、犬君は「おすわり」と「ごほうび」を関連付けることができます。
その2つが関連づくことで、「おすわりするとごほうびがもらえるんだ」という理解に繋げることができるんです。
ですが、人が「おすわり」と言って、犬君がおすわりをしたあと、4秒以上空けてからごほうびをあげると、犬君は「おすわり」と「ごほうび」を関連付けることができません。
つまり、「おすわりするとごほうびがもらえるんだ」という理解には繋がらないのです。
これはトレーニングにおいてとても重要な事柄です。
「おすわり」を教えるために、「おすわりするといいことが起こるよ」と教えたいわけです。
でもその「おすわり」と「ごほうび」の間が4秒以上空いてしまったら、それをどれだけ繰り返しても「おすわりするといいことが起こる」なんて分かってもらえないのです。
それではいつまで経っても犬君は「おすわり」を学んでくれません。
「その行動でいいんだよ」
「それをやってくれると私は嬉しいよ」
そういったことを生き物に教えるには、「その行動は正しい」と明確に教えるタイミングがとても重要なのです。
先ほどのカフェでも話もそうでしたよね。
時間が経ってから「ありがとう」と言われても、一体何に対する「ありがとう」なのか分からないわけです。
つまり、「ありがとう」も「ごほうび」もタイミングが大事なんです。
鳥さんも同じです。
なんなら犬君より鳥さんの方が行動と結果を紐づけるためのタイミングはシビアだと言われています。
本当にちゃんとトレーニングをするのであれば特にですが、そうでなくても「ごほうび」をあげたり「えらいね」と褒めるタイミングを意識することで、鳥さんにこちらの気持ちがより伝わるようになるんじゃないかと思います。
人にありがたいことをしてもらったら、すぐに「ありがとう」と伝える。
鳥さんがいいことをしてくれたら、すぐに「えらいね」と伝える。
人に限らず、鳥さんにもそういったごくごく一般的な常識とマナーをもって接するのが大事なんじゃないかと思います。
「鳥さんは人間とおんなじ」ですから。
※音声が出ますのでご注意ください