皆さんは、「鳥さんのトレーニング」と聞いて、どういったやり方をイメージしますか?
多くの人は、「人が鳥さんを操って、人が思い描く行動を鳥さんにやってもらえるようにする促す」という方法を思い浮かべるんじゃないかと思います。
例えば、「ターン」を教えるときのことを考えてみましょう。
おやつで釣って鳥さんに背後を向いてもらい、さらにおやつで釣って元の向きに戻ってもらいます。
そうやってクルッとその場で一回転してもらうことを繰り返すことで、「ターン」というコマンド(芸)が身についていくわけです。
このように、「こうやって動いて」とか「こうやるのが正解だよ」と人が鳥さんに1から行動を教えていく方法が、トレーニングの最も基本的なやり方なんじゃないかと思います。
ですが、トレーニングには他にもやり方があるんです。
今回は他のトレーニング方法のうちの1つについてお話しようと思います。
今回お話するトレーニングの方法は、「鳥さんが自然にやっていることを芸にする」という方法です。
ウロコインコのマメちゃんは、「ウンウン」とうなづく動作をします。
これは私が教えたわけではなく、マメちゃんが遊びで勝手にやっていた行動です。
私は、マメちゃんがウンウンってしているときに、「ウンウン」と言いながら一緒にうなづくようにしました。
そういったことを何回も続けていくと、私が「ウンウン」と言いながらうなづくことで、マメちゃんが一緒にやってくれるようになりました。
マメちゃんが一人遊びとして勝手にやっていた動作を、私が「ウンウン」と声をかけることでマメちゃんにやってもらえるようになったんです。
他にも、鳥さんってよく翼を伸ばす動作(通称「スサー」)をやりますよね。
私は空ちゃんがスサーをするタイミングで「のびのびーー」と言いながら私も伸びをする仕草をするようにしました。
そういったことを何度も何度も繰り返しているうちに、私が「のびのびーー」と言って伸びをすると、空ちゃんもスサーをしてくれるようになりました。
また、当たり前なことですが、トイレ(排泄)も鳥さんが毎日自然にやる行動の1つですよね。
鳥さんがトイレをするタイミングで「トイレ」や「うんち」などと声をかけ続けることで、「あ、『トイレ』って言われたからトイレしよう」と思ってくれるようになることもあります。
うちの鳥共は、「うんち」って言ったタイミングでトイレをしてくれます。
100%の確率でやってくれるわけではありません。
それでも、トイレをする場所をある程度コントロールできるので、掃除の負担が減って助かります。
このように、鳥さんが誰に教わったでもなく自然に何らかの行動をしているときに、決まった言葉をかけたり決まった仕草を見せて、その動作を鳥さんに意図的にやってもらえるようにするというのも、れっきとしたトレーニングの方法の1つなんです。
例えば、数学が得意な人もいれば苦手な人もいます。
数学が苦手な人からしたら、数学の勉強をしている時間が苦痛で仕方ないわけです。
1から学ばなければ先に進めないとわかっていても、苦痛でしかないのですぐ嫌になってしまって長続きしません。
数学に向き合う時間が少なくなれば、いつまで経ってもなかなか上達しずらいのです。
一方、得意な分野であれば、スラスラとできる分、苦痛を感じるどころかむしろ楽しささえ感じると思います。
しんどさを感じないので長い時間勉強をしていても苦にならず、さらなる上達が期待できると思います。
受験のためにどうしても数学を学ばなければいけないのであれば仕方ないのかもしれません。
でもそうでないなら、得意なものをさらに上達させるというやり方も1つの手だと思います。
その方が上達しやすいですし、ある程度モノになるまでの時間は短くて済むかもしれません。
鳥さんのトレーニングも同じような気がするんです。
不得意な動作を要求されるようなトレーニングだと、鳥さんは楽しさを感じられない場合もあると思うんです。
楽しいと思えなければトレーニングは好きになれないし、嫌になってしまって続かず上達もしずらいと思います。
一方で、鳥さんが得意とする動作や、何も考えずに自然とやっている行動は、鳥さんにとって苦でもなんでもないので、それを伸ばすトレーニングというのは鳥さんに無理なく教えられるものだと思います。
皆さんの愛鳥さんにも、得意な動作とか、勝手にやっているお気に入りの行動とか、ありませんか?
そういったものがあるのであれば、その部分を切り取って、それをその子の得意技にするというのもアリなんじゃないかと思います。
そういったやり方は、鳥さんも飼い主さんも楽しみながら気軽にトレーニングできる方法の1つなんじゃないかなって思います。
※音声が出ますのでご注意ください