前回のブログで、新しく鳥さんを迎えることで鳥さんの行動や態度が変わってしまったり、鳥さんと飼い主さんの関係性に変化が起こる可能性があるというお話をしました。
前回のお話に興味がある方は、下のリンクからご覧になってくださいね。
前回のブログは、「新しい鳥さんが来ると家庭内の生態系が変わってしまい、それがストレスになって様々な問題行動が引き起こされるかもしれない」という、怖がらせるだけ怖がらせるような内容で話が終わっていました。
今回はそういった悲しい方向にいかないようにするための対応策について、私の考えをお話していこうと思います。
結論から言ってしまうと、生態系を変えないように飼い主さんが気を配ってあげることが大事だと思います。
新しい鳥さんが来ると、ついつい新しい子を構いがちです。
「うちの鳥さんが何羽になろうが、かける愛情はどの子にも同じだよ?」
そうおっしゃる気持ちは分かりますし、その気持ちに偽りはないと思います。
それでも無意識についつい目が新しい子のところにいってしまうんじゃないでしょうか。
それは新しい子への愛情が他の子に比べて深いということではなく、「我が家という新しい環境に馴染んでくれているかな?」「体調に変化はないかな?」「少しは落ち着いてきたかな?」という、鳥さんの体調を気遣いたいという気持ちの表れだと思います。
どの子にも愛情をかけたいという気持ちがあるからこそ、新しい子のことが心配で結果的についつい手をかけてしまったりするんじゃないかと思います。
幼鳥さんを迎えたのであればなおさらだと思います。
お迎えした時期にもよりますが、幼鳥さんの場合は挿し餌をする必要があります。
そうなればどうしたって他の子と比べて接触する時間が多くなります。
幼鳥さんは成鳥さんに比べて室温に気を配る必要があるので、「寒くないかな?」「逆に暑くなりすぎてないかな?」など、頻繁にケージ内の温度や幼鳥さんの様子をチェックする機会も増えます。
そういった飼い主さんの行動や態度を、元からいた鳥さんはちゃんと見ています。
そして、これまで自分たちに向けられていた目や手が新しい子に行ってしまっていることに多少なりとも妬くんだと思います。
「新しく来たアイツ、飼い主を独占しやがって…」
「アイツが来るまでは飼い主さんはわたしといっぱい遊んでくれていたのに…」
「大好きな飼い主さんとなかなか寄り添えなくて寂しい…」
「放鳥時間も減っちゃって外に出してもらえないからストレス溜まるわ…」
そんな風に鳥さんが思うようなることで、鳥さんの行動が変わってきます。
新しく鳥さんをよく思わなければ、その鳥さんを攻撃するような行動に出るかもしれません。
飼い主さんに構ってもらえる時間が減ってしまって寂しいと思っている鳥さんは、飼い主さんの気を引くためにイタズラをするようになったり、呼び鳴きをするようになったりするかもしれません。
「もっと遊んでくれよ!ケチ!」という強い気持ちの裏返しで、大好きな飼い主さんを噛むようになるかもしれません。
ケージから出してもらえない時間が続くことのストレスから、自分の羽根をむしるようになってしまうかもしれません。
飼い主さんは悪くないんです。
飼い主さんは分け隔てなくどの鳥さんにも愛を持って接しているだけなんです。
でも、これまで自分に向けられていた視線や姿勢の何パーセントかが新しい鳥さんに向いてしまうことで、元からいた鳥さんは「飼い主、お前、変わっちまったよ」と映るのかもしれません。
そうならないために、飼い主さんが行動や態度を変えないことが重要だと思います。
例えば、お世話の順番です。
これはこれまで通りの順序でやるのがよいと思います。
新しい子の様子が気になる気持ちは分かりますが、ご飯や水替え、体重測定など、新しい子が来る前の順番通りにやることで、鳥さんたちに変化やえこひいき感を与えずに済むと思います。
遊んであげる時間もこれまで通りが理想です。
これまで放鳥タイムで、がっつり1時間、愛鳥さんとラブラブして過ごしていたのであれば、新しい鳥さんを迎えてからも、同じ時間、同じ濃厚さでこれまでの鳥さんと関わってあげるのがよいと思います。
ただ現実問題として、鳥さん達と遊べる時間には限界があり、そんな中羽数が増えてしまったら、どうしたって1羽ごとに費やせる時間が減ってしまいます。
そんなときは、時間は減った分、濃厚さをより高めてあげてるといいんじゃないかと思います。
放鳥タイムが短くなり、かつ、飼い主さんが新しい子にばかり寄り添っていて自分と遊んでもらえないとなれば、鳥さんにとって時間も飼い主さんとの濃密度もマイナスになってしまいます。
飼い主さんが自分との時間を作ってくれて、ちゃんと自分に向き合ってくれれば、それがこれまでと少し短い時間だとしても、鳥さんはこれまで通り満足できると思います。
このように、これまでと変わらない生活を送るように気を配ることで、鳥さんもこれまでと同じような態度で過ごすことができると思います。
ここで1つ、みなさんの頭の片隅に置いておいてもらいたいイメージがあります。
それは、『飼い主さんは鳥さん達にとっての「神様」だ』というものです。
鳥さんが生きながらえるようにご飯を恵んでいるのは飼い主さんです。
鳥さんが快適に過ごせるように世界(=室内)の温度を管理するのも飼い主さんです。
定期的に雨を降らして(=霧吹きなどで水を吹きかけて)水浴びさせてあげるのも飼い主さんです。
いつだって鳥さんのことを気にかけ、鳥さんが幸せに暮らせるように見守ったり手を差し伸べている。
そんな飼い主さんの存在は、まさに鳥さんにとっての「神様」なのです。
神様なのですから、家庭内の生態系を操れる力も備わっています。
新しい鳥さんが増えたとしても、生態系を壊すことなくこれまでと同じ世界を続けていくことができます。
鳥さんたちが環境の変化に気付きちょっと気が荒くなってあなたを噛んできたとしても、神は痛さなど感じません。
先住民(=先住鳥さん)と新しい部族(=新入りの鳥さん)がいがみ合いをするようなことになっても、神は自分の身を犠牲にしてでも止めます。
その際、どちらの民(=鳥さん)からどんなに噛まれようが、愛すべき民(=鳥さん)のしたことを寛大な心で許せるはずです。
なぜならあなたは神なのだから!!
……ゼェゼェ……。
……と、まぁ、そんなわけで…家庭内の生態系を守れるのは飼い主さんだけです。
ぜひ、鳥さん達にとっての神様となって、家庭内が未来永劫、平穏な環境であるように、優しく温かい光で鳥さん達を包んであげてください。
※音声が出ますのでご注意ください。