「音が出る部分が口に近い楽器ほど、音に感情を乗せやすい」
以前、音楽家の方からそんな話を聞いたことがあります。
「人の感情が外に出るのは口からであり、その口から音の出る部分が近ければ近いほど、感情がダイレクトに表れやすい」
その方は理由をそんな風におっしゃっていました。
例えば、同じホルンでも一般的なホルンとアルペンホルンを考えてみてください。
ホルンというのはオーケストラにも登場するカタツムリのような形をした金管楽器です。
ホルンは手の届くあたりから音が出ます。
アルペンホルンは、アニメ「アルプスの少女ハイジ」のオープニング曲でも印象的な音色を聴かせてくれるとても長い楽器です。
口から音の出る部分までの距離は2メートルを超えます。
この2つの楽器を比べたとき、ホルンの方が音に感情を乗せやすいと思います。
アルペンホルンの音色も素敵ですが、楽しいとか悲しいといった感情を音に乗せられるかというと、確かになかなか難しい気がします。
その音楽家さんはピアノを専門にされている方でしたが、「そう考えると、ピアノというのは感情が乗せにくい楽器なんです」ともおっしゃっていました。
「ピアノとバイオリン、どちらの方が感情が伝わりやすいか…と考えると、やっぱりバイオリンの方が感情がダイレクトに伝わってきますよね」
「感情や言葉を伝える『口』が音の出る部分に近い楽器ほど、音に感情が素直に乗ってくれるんです」
そんなお話を聞いて私はとても納得した覚えがあります。
私にもそれと似たような持論があります。
それは、「人の口が鳥さんの顔に近いほど、鳥さんに気持ちが伝わりやすい」というものです。
上の音楽の話でも出てきましたが、やっぱり気持ちや想いを伝えるのって『口』なんです。
その口が鳥さんに近ければ近いほど、気持ちがダイレクトに届いてくれると思うんです。
口というものは、言葉を発することで相手とコミュニケーションすることができる器官です。
鳥さんも口を使っていろいろな声や音を出して、相手に自分の気持ちを伝えます。
そんな鳥さんの中には、「口から発せられる音(言葉)には、相手の気持ちや想いが詰まっている」という理解があるんだと思います。
加えて、鳥さんって、他の鳥さんに羽繕いをしてあげるときにくちばしを使いますよね。
また、好きな相手にごはんをあげるときにも、口を使って吐き戻しをしたりもします。
鳥さんにとって『口』というものは、相手から愛情を伝えてもらえる器官だと思うのです。
そして、羽繕いにしても吐き戻しにしても、自分の口を相手の顔に近づけますよね。
つまり、相手が自分に口を近づけてくることは、仲良しの証であり愛情表現の1つなのだと思うのです。
それは鳥さん同士だけではなく、鳥さんと人との間でも同じなのではないか、と私は思っています。
人が鳥さんに口を近づけることは、鳥さんに対しての愛情表現になり、親密度アップに繋がるのではないかと思います。
例えば、同じ「えらいね」というほめ言葉も、顔が離れた状態で伝えるより、お互いの顔が近い状態で伝えた方が、より気持ちが伝わるのではないかと思うのです。
そこで最近、オオハナインコの花ちゃんがいいことをしてくれたときに、顔を近づけてほめるようにしています。
(そのときの様子は、下にある動画を見てみてください)
このほめ方が花ちゃんに刺さったのか、最近花ちゃんがとても穏やかになってきた気がします。
以前は、花ちゃんがノリノリで遊んでいるときに「ごはんだよー」と呼び掛けても無視されることが多かったんです。
でも最近は、「ごはんだよー」と声をかけると、スッと遊ぶのをやめて私の手に乗ってきてくれたりします。
また、花ちゃんは頭をカキカキされるのが苦手で、頭の上に手が近づくとクワッと威嚇するように口を開けていました。
それがここのところ、「カキカキさせて」と言うと大人しく頭を下げて待っていてくれたりするようになりました。
私が「いい子だね」とか「ありがとう」と言った言葉を、花ちゃんに顔を近づけて伝えるようにしたことで、これまでよりも気持ちが伝わっているのか、花ちゃんの態度が優しくなったような気がしています。
「口を近づけて話した方が鳥さんに気持ちが伝わる」なんて、いつものことながら科学的な裏付けのない話です。
花ちゃんが穏やかなのは、気分屋な花ちゃんならではの一時的な変化なのかもしれません。
最近涼しくなってきたことで花ちゃんの機嫌がよくなっているだけなのかもしれません。
花ちゃんの態度が優しくなった本当の理由は分かりません。
でも、私が花ちゃんの顔の近くで語りかけることを、花ちゃんはとても喜んでくれているように感じます。
顔の近くで声をかけると、花ちゃんが嬉しそうな表情をするんですよ。
他の方からは「気のせいじゃない?」と思われるかもしれないけど、でも私にはそう見えるんです。
少なくとも花ちゃんには、「口を近づけて気持ちを伝える」という方法が合っているのかもしれません。
みなさんも「えらいね」とか「可愛いね」といった言葉を、愛鳥さんの顔に近づいて伝えてみてください。
もしかしたら普段以上に飼い主さんの気持ちが伝わって、鳥さんとの親密度がより深まるかもしれません。
ただ、口を鳥さんに近づけたときに急に噛まれるなんてことも考えられます。
鳥さんに口を近づけるときには怪我や事故のないように十分注意してくださいね。
※音声が出ますのでご注意ください
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