前々回に鳥さんのダイエットについて、前回には鳥さんの体重とキールスコアについてお話してきました。
この2回のお話をまとめると、
1.まずはキールスコアを測って適正体重を知る
2.適正体重になるためにダイエットが必要なら、
脂質の低いご飯でちゃんと食べてもらいつつ体重管理をする
…といった感じです。
今回はその流れでもう1つ、鳥さんの体重管理についてのお話をしようと思います。
その前に、もし前回、前々回のブログの内容が気になるようであれば、以下のリンクから読んでみてください。
さて、みなさんが「私、ちょっと痩せなきゃなぁ…」って思ったとき、どういった行動を取るでしょうか。
多分、大きく2つの方法に分かれると思います。
1つは「食事の内容を見直す」という方法、もう1つは「身体を動かすことを心掛ける」という方法です。
…って誰ですか?
「体重を見なかったことにする」なんていう第3の方法を取ろうとしている人は。
ま、それは置いといて、いつもお話している通り、「鳥さんは人間とおんなじ」です。
なので、鳥さんに痩せてもらおうとするときも人がやる方法と同じで、食事の内容を見直すか運動をさせることが効果的だと思っています。
「食事の内容を見直す」という方法については、前々回のブログで取り上げたので、今回は「身体を動かすことを心掛ける」というところにスポットを当ててお話をしていこうと思います。
ところで、みなさんは「力学的エネルギー保存の法則」というものをご存じですか?
言い換えると「位置エネルギー=運動エネルギー」とも表されます。
これは高校生の物理で登場してくる法則です。
あ、待ってください。
「物理」とか「法則」とか聞くと拒否反応を起こす方もいらっしゃるかと思います。
分かりやすくお話しますので、もう少しお付き合いください。
例えば、床から2.0mの高さのところに10kgのペレットの入った袋が天井から紐で吊り下げられていたとします。
以下のようなイメージだと思ってください。
このペレットが吊り下がっている紐をハサミで切ります。
すると、どうなると思いますか?
そうです、ペレットの入った袋は床に落ちます。
このとき、ペレットは床に衝撃を与えます。
それって考え直すと、床から2.0mの高さにあったペレットの袋は、床に対して衝撃を加えるだけの力を秘めていたということになります。
つまり、相対的に高い位置にある物はもうそれだけで「位置エネルギー」というものを保有しており、それは他の物体に力を与える「運動エネルギー」に等しい。
言い換えれば、『どんな物体ももうそこに存在するだけで力を秘めている』ということ!!
これ、すごくないですか??
私は物理の授業でこの法則に触れてめちゃくちゃ感動したんですよ!
「どんな物もそこにあるだけですごいパワーを秘めている!」
「それがこの世界の物理法則として証明されている!」
「こうやって座ってるオレだってパワーを秘めているってことなんだ!」
「そこらへんに売られている下手な自己啓発本よりこの法則の方がよっぽど響く!!」
……って私は今こうやってこのお話をしながらも興奮して鳥肌が立っていますが、なんとなくこれを読まれている方との温度差を感じるので、この物理法則の話はここまでにしておこうと思います。
結局この話から何が言いたかったかというと、高いところにあるものはそれだけで力を持っているということなんです。
それは先ほどの例でお話したペレットの入った袋だけじゃなく鳥さんも同じです。
高いところにとまっている鳥さんは、もう高いところにいるというだけで力を秘めているんです。
高いところから下に向かって飛ぶ鳥さんの飛行スタイルをよく見てみてください。
全然羽ばたかない時間があるんです。
それは高いところにいたときのエネルギーを解放しているだけなんです。
動く力のないペレットが落下するのと同じで、鳥さんは上から下には大した力を使わなくても飛べるのです。
そう考えると、鳥さんに運動してもらうときに気を付けるべきなのは、【鳥さんに飛んでもらう方向】です。
鳥さんにちゃんと運動させるのであれば、【下から上に飛んでもらう】ことが大事なんじゃないかと思うのです。
先ほどのペレットの例もそうでした。
ペレットを上から下に移動させたいとき、床への衝撃やペレットが粉々になるといったことを考慮から除けば、単にペレットが吊り下げられている紐を切ればいいんです。
人は何も力を使わなくても、重力がペレットを床まで引っ張ってくれます。
でも逆に、ペレットを下から上に移動させるのって大変ですよね。
指をパチンと鳴らせば床から2.0mの高さまで勝手にペレットが移動してくれるなんていう魔法みたいなことは絶対に起こりません。
2.0mの高さまで10kgの重さのあるものを人間が持ち上げる必要があるのです。
つまり、物を下から上に移動させるには、必ず何らかの力が必要なのです。
鳥さんも同じで、下から上に飛ぶとき、鳥さんは羽ばたいて自分の体重を上に上に持ち上げていく必要があります。
同じ「飛ぶ」という行動でも、上から下に飛んだり水平に飛ぶよりも、下から上に飛ぶ方が必要な運動量は上がるのです。
なので、運動のために鳥さんを飛ばすのであれば、【下から上】に向かって飛んでもらうことを意識するのがよいと思います。
自由に飛び回って飛ぶ距離を確保できるような広い空間であれば水平に飛ぶでもいいと思います。
でも十分に飛び回れるようなスペースがない場合や、短い時間で効率的に鳥さんに運動をしてもらいたいときなどは、ちゃんと羽ばたいてもらうために【下から上】に飛んでもらうようにするといいんじゃないかなって思います。
もしくは、飛ぶのは上から下でも構いませんが、その後鳥さんがよじ登って【下から上】に移動するように仕向けてあげるのもよいと思います。
先ほどもお話した通り、どんなものでも下から上に移動するためには何らかの力が必要です。
人間もすべり台で滑ってるだけでは運動になりませんが、滑り終えた後「階段を使ってすべり台の上に行く」という行動が発生すれば、その分筋肉を使った運動に繋がります。
鳥さんも同じで、飛んだりよじ登ったりしながら【下から上】に行くという行動が発生すれば、その分身体を動かす機会が増えます。
というわけで、鳥さんに遊ばせるときには「上下運動」を意識するといいんじゃないかなって思います。
「力学的エネルギー保存の法則」は鳥さんにも適用される物理法則です。
万物に対して平等に働く法則を意識することで、鳥さんに効率的に運動してもらうことができるんじゃないかなって思います。
※音声が出ますのでご注意ください