これまでの動画を見ていただいてもお分かりかと思いますが、花ちゃん、結構毛引きをしちゃっています。
元の飼い主さんのところにいた頃は、花ちゃんは毛引きはしていなかったようです。
ですが、花ちゃんの元の飼い主さんが亡くなられて数日経った頃、花ちゃんが飼い主さんがいないことに気付き始め、その頃から毛引きをするようになってしまったと聞いています。
我が家に来てからも毛引きは続きました。
毎日、うんちやおしっこの状態をチェックするために、ケージの受け皿のシートを交換するのですが、そこに毎日花ちゃんが抜いた羽が落ちていました。
その羽を見るたびに「早くやめさせないとなぁ…」と焦りと無力さを感じていました。
毛引きはできることなら早い段階でやめさせたいと個人的に考えています。
というのも、毛引きはクセになってしまう可能性が高いと思っているからです。
人にもクセってありますよね。
「なんとなくやっちゃう」みたいな。
「気が付くと無意識にやってる」みたいな。
「意味はないけどこれをやってると落ち着く」みたいな。
鳥さんの毛引きもそれと同じ感じだと思うんですよね。
そして、それがクセとして定着してしまうと厄介なんです。
鳥さんにとって羽は体温調節をするために大事なものです。
寒いときは羽を膨らませて身体を温めます。
でも羽がないとそういったことができません。
寒いときに寒いままになってしまい、その状態が続くことで体力が奪われ免疫力も下がり、体調を崩す原因になりかねません。
また、羽は飛ぶためにも当然必要です。
羽がないと飛ぶことができないので単純に運動量が落ちます。
運動量が落ちることで肥満や体力低下に繋がります。
誤ってどこかから落ちたときに羽ばたいて落下速度を落とすこともできません。
そのままドーーンと落下してしまい、思いもよらない事故を引き起こしたりします。
このように、羽がないというだけでも健康上の不安が発生します。
しかし、毛引きの怖さはこれだけではありません。
毛引きがエスカレートすると、抜く羽がないのにさらにむしろうとして自分の肌を噛んで傷つけるようになってしまうこともあります。
出血を伴うような症状になってしまい、単純に血液不足から貧血気味になったり、出血したところからばい菌が入り化膿したり病気になってしまったりすることも考えられます。
こういった事態にならないようにするために、毛引きはできるだけ早い段階でやめさせることが大事だと思っています。
ただ厄介なのは、「どうしたら毛引きをなくせるか」という問いに絶対的な答えがないことです。
おもちゃを与えて気を紛らわせることで毛引きをしなくなる子もいます。
たくさん放鳥してあげることで改善する子もいます。
フォレイジングを試してみることで症状が軽くなる子もいます。
でも、そのすべてを試してみても何も変わらない子も中にはいます。
そこが毛引きの難しいところだと私は思っています。
自然界では毛引きをする鳥さんはいないと聞きます。
そう考えると、毛引きをする子というのは、人との暮らしの中で何らかのストレスを感じているんだと思うんです。
そのストレスが何なのかは、その鳥さんを毎日お世話している飼い主さんにしか分かりません。
逆に言えば、飼い主さんならその子の毛引きをしている理由を見つけてやめさせることができるかもしれないのです。
「毛引きは健康に悪い影響を生むものだから早めにやめさせるべき」と少し怖がらせるような内容になってしまって申し訳ないです。
ただ、前回のブログでも言っている通り、焦ってはいけないと思います。
「おもちゃをあげれば気が紛れるでしょ」と新しいおもちゃをたくさんケージの中に設置しても、鳥さんがそのおもちゃを怖がっていたら余計にストレスが溜まってしまいます。
「早めにやめさせたいから、とりあえずこれ!」と焦ってしまう気持ちも分かりますが、やはり鳥さんの気持ちを考えてあげることが一番大事なのかなって思います。
もしかしたら、毛引きが単純に1つの「趣味」なっていて、たまに毛引きをさせてあげた方が精神的に落ち着くということもあるかもしれません。
そういった可能性もすべて含めて、その子の気持ちを見極めて寄り添ってあげてほしいです。
鳥さんの気持ちを分かってあげられるのは、いつも一番近くにいる飼い主さんです。
飼い主さんにはどんなときもその鳥さんにとっての最大の味方でいてあげてほしいなと思います。
※音声が出ますのでご注意ください