鳥さんの噛み癖に悩まれている方に、ぜひ鳥さんとやっていただきたいトレーニングがあります。
それは、「手からごはんをあげる」という方法です。
…って、ここのブログを熱心に読んでくださっている方の中には、「え、またその話?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに以前、手からごはんをあげることで「鳥さんと仲良くなれる」とか「鳥さんとの距離が縮まる」といったお話をさせてもらいました。
でも、手からごはんをあげることの恩恵はそれだけではなくて、鳥さんの噛み癖対策にも一役買うんじゃないかと思っています。
というのも、鳥さんに手からごはんを食べてもらうことで、くちばしの力加減の練習をしてもらえると思うのです。
突然ですが、みなさんは子供の頃、卵を上手に割ることってできましたか?
はじめのうちは上手に割れないこともあったんじゃないかと思うのです。
割ろうと思ったら手でグシャ!とつぶしてしまったり。
親指だけ殻の中に突っ込んでしまったり。
殻が割れて卵の中に落ちてしまったり。
そういった失敗、誰もが経験していることだと思います。
でも今では、あまり意識せずパカッと上手に割ることができますよね。
それは、「卵を割る」という行為を繰り返して、「こうすれば上手に割ることができる」、「これくらいの力加減でやれば大丈夫」と、割るときのコツや手の力加減が分かってきたからだと思うんです。
鳥さんのくちばしもそれと同じだと思うんです。
手からごはんをもらうという行為を繰り返すことで、鳥さんは「どうしたら人の指を噛まずに上手にごはんを取ることができるか」ということを学べるのだと思います。
ヨウムの空ちゃんをお迎えして間もない頃、私は空ちゃんにコザクラインコさん用のおやつを手であげたことがあります。
それは本当に小さい粒のようなサイズのものでした。
そのおやつを指につまんであげたところ、空ちゃんにおやつごと指も噛まれました。
また、オオハナインコの花ちゃんは、私の元に来たばかりの頃はかなり荒々しい鳥さんでした。
最初の頃は手からごはんをあげるなんて怖くてできませんでした。
少し慣れてきてからもごはんをもらう仕草がとても雑で、サッ!とすごいスピードで奪い去るような形で私の手からごはんを取っていきました。
そのためごはんを取るときに一緒に私の手を噛んでしまうこともありました。
そんな空ちゃんと花ちゃんですが、今では上手に手からごはんをもらってくれます。
とてもゆっくりとしたスピードでそぉーっとくちばしを使ってごはんだけを取っていってくれます。
それは、これまで毎日「手からごはんをあげる」という行為を繰り返す中で、鳥共が上手にごはんをもらうコツを習得したからだと思っています。
加えて、手からごはんをあげることで、「手=ごはん=魅力的なもの」といった形で手のイメージが良くなっているんだと思います。
「何をされるか分からない…」、「捕まってしまうかも…」といった悪いイメージが付いている手が近づいてきたら、鳥さんは逃げたり抵抗して噛みたくなってしまうんだと思います。
手からごはんをあげるという行為は、手の印象を良くしつつ、鳥さんのくちばしの力加減も上手になる、とてもよいトレーニングの1つだと思います。
うちでは、ごはんを指でつまんであげるだけでなく、「手のひらに置いたごはんを食べてもらう」ということもやっています。
指でつまんだごはんを食べるのと、手のひらに置かれたごはんを食べるのでは、くちばしの使い方が異なります。
いろいろなシチュエーションでごはんを食べてもらうことで、くちばしの使い方がさらに上手になってくれると思います。
また、「ごはんをつまんで鳥さんの足元に置く」ということもやっています。
鳥さんっておやつを見るとどうしても食べたい気持ちが強くなって、手からごはんを奪い取りたいという衝動に駆られたりすることもあるんだと思います。
そういった気持ちを我慢して、置いてもらったおやつだけを食べる。
こういったことを繰り返すことで、「噛むべきは人の手ではなくおやつ」ということを当たり前の考えにしてもらえるのではないかと思っています。
もちろん、こういったトレーニングをしているからといって、「絶対に強く噛まれなくなる」というわけではありません。
鳥さんは人間と同じ感情を持った生き物です。
「それだけはどうにも嫌だ!」と拒絶するとき。
「アキャキャキャ! 最高に楽しいよなぁおい!(バンバン!!)」といった超ハイテンションなとき。
そういったときに、トレーニングしたことなんて忘れて、素直な気持ちとして乱暴な一面が出てしまうことはあると思います。
それでも、くちばしの力加減を学んでおいてもらうことは、噛み癖という問題行動を軽減するために無駄なことではないと思っています。
一日分のごはんを全部手からあげる必要はありません。
一食分のごはんのうちの少しでも、時間がないときは本当にちょっとの量だけでも構いません。
鳥さんにとって手からごはんをもらうという経験は、くちばしのコントロールの仕方や手に対するくちばしの使い方のマナーを学ぶ機会になってくれるんじゃないかと思います。
鳥さんの噛み癖に悩まれている方は、噛まれて怪我をしないように注意しながら試してみてもらえたらと思います。
※音声が出ますのでご注意ください
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