みなさんは、「蟹」ってお好きですか?
お高いので本当にたまにしか食べませんが、私は結構好きです。
って、私、蟹を食べているときにいつもニヤニヤしちゃうんですよ。
「美味しいから」っていう理由でニヤニヤするわけじゃないんです。
「なんか…鳥さんのフォレイジングみたいだな」って思っちゃうからなんです。
食べるために甲羅をはがしたり、狭いところにフォークを突っ込んだり。
「あ、まだこんなところに食べれるところあった♪」なんて言ってお肉を掘り出して喜んでみたり。
手間がかかる割に食べられる量は少なくて満腹感は得られない。
でも、隅々まで食べ残しなく綺麗に食べきったことで達成感が味わえてみたり。
そんな不思議な感覚を楽しみつつ、またほじくって出てきたお肉をチマチマ食べてみたり。
そんなことを自分だけでなく一緒に食べている友人たちもやっていて、「なんか、餌を探している鳩さんの集まりみたいだな…フフ…」なんて思って一人でニヤニヤ笑ってしまうんです。
……さっ、蟹の話はこれくらいにして、おかしな人と思われる前に鳥さんのお話を始めましょう(手遅れ)。
先日、うちの鳥共に「オーチャードグラス」というシードを買ってみました。
うちの鳥共は基本的にペレット食ですが、「たまにはシードを取り入れてみるのもいいよなぁ」と思ったんです。
シードというと脂質が高いイメージがあります。
でも、オーチャードグラスはシードの中でもヘルシーとかダイエット食という印象です。
「これならうちの鳥共が太ってしまうこともないだろう」
そう思ってオーチャードグラスを選んでみたのです。
鳥共にあげる前にオーチャードグラスがどういったものかを観察してみました。
オーチャードグラスを細かく見てみて頭に浮かんだのが「蟹」でした。
冒頭でお話した通り、蟹って手間がかかる割に食べるところがそれほどないんですよね。
だからと言って食べるのが嫌になるわけではなく、逆にほじくって食べる楽しさがあったりします。
オーチャードグラスもまさにそんな感じなんです。
オーチャードグラス自体、シードの中では小さい部類のものです。
オーチャードグラスを分解してみると、食べる実の部分はさらに小さいことが分かります。
殻を退けて実をゲットできたところで食べられる量はかなり少ないのです。
それなりの量をあげても実際に食べられる量は少ないですし、食べるのに手間がかかるので全部食べるのにはかなり時間がかかります。
「食べる」という体験をゆっくりと長い時間味わえて、でも食べている量はそこまで多くない。
鳥さんはたくさん幸せを感じられるし、飼い主さんは鳥さんに安心してあげることができて、双方にとってハッピーなシードだなぁと感じました。
加えて、「オーチャードグラスから実を取り出して食べる」という行為は、美味しいだけでなく楽しさも味わえるものだと思います。
野生の鳥さんは毎日「餌探し(フォレイジング)」をしています。
一方で、家庭で暮らす鳥さんは「餌探し」の楽しさを味わえていません。
それはそれで安定的にご飯が食べられて快適なのかもしれません。
でも、鳥さんの生態として代々受け継いできた「餌探し」という行為は、家庭に暮らす鳥さんにとっても楽しいものなのです。
鳥さんはオーチャードグラスをもらうことで、
「よし! 食べられるところゲットできた♪」
「お! ここにまだ実があるじゃん! ラッキー!」
という「餌探し」の体験ができ、結果として鳥さんの幸せ度が増すんじゃないかと思います。
オーチャードグラスをそのまま鳥さんにあげるだけでもこのようないろいろなメリットがありますが、私はさらなる方法を考え付きました。
それは、このオーチャードグラスをいつもあげているごはんにサラサラッと振りかける方法です。
まずは、オーチャードグラスを退けつつ、ゆっくりと時間をかけていつものごはんを食べてもらって。
いつものごはんを食べ終えたら、今度はオーチャードグラスの殻を退けつつ、またゆっくり時間をかけて実を食べてもらう。
このように、いつものごはんにオーチャードグラスを振りかけるだけで、2段階のフォレイジングになると思います。
これから徐々に暖かくなって、鳥さんが発情しやすい季節になります。
食べる時間をゆっくりとしたものにでき、かつ、食べるという行為に集中させやすいフォレイジングは、発情抑制にも一役買うと思います。
毛引きが気になる鳥さんや肥満気味な鳥さんにもフォレイジングは有効だと思います。
「フォレイジングっていうとなんか専門的っぽくて…」
「フォレイジングってどうやって始めればいいか分からない…」
そうお考えの方は、まずはいつものごはんにオーチャードグラスを振りかけるというお手軽な方法から始めてみるのもいいんじゃないかと思います。
あまりペットショップなどでの取り扱いはないかもしれませんので、気になる方はネットで買って試してみてくださいね。
※音声が出ますのでご注意ください