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【インコさんの幸せのために】インコさんと関わる時間を持とう

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先月、認定NPO法人TSUBASAにより開催された愛鳥祭で、ヨウムさんに関するシンポジウムを聞いてきました。
ヨウムさんがテーマのお話ということに加えて、講演の中でうちの空ちゃんの動画が流れるということもあって、ワクワクした気持ちで聞きに行きました。
しかし、内容としては個人的にかなりショッキングでとても考えさせられるものでした。

どんな内容だったか、ざっくりとお話します。

・ヨウムは魅力的なコンパニオンバードとして世界的に人気が高まっている
・だが、セキセイなどと異なりヨウムは人工的な繁殖が難しい
・世界中からの需要に応えるべく、アフリカでは野生のヨウムが大量に生け捕りにされ出荷されてきた
・出荷されるまでの間、ヨウムはとても窮屈で劣悪な環境に詰め込まれる
・神経質なヨウムはその環境に耐えられず、ほとんどが死んでしまう(生き残れるのは20羽に1羽)
・そういった背景から野生のヨウムはここ数年でどんどんと生息数を減らした
・その結果、ヨウムは絶滅危惧種(CITESⅠ類)に格上げされた

シンポジウムでは、実際に現地でヨウムさんが生け捕りにされる様子や、捕らえられた大量のヨウムさんが狭いケージに詰め込まれている様子の映像が流れました。
そういった過度のストレスを受けて実際に亡くなってしまっているたくさんのヨウムさんの映像も流れました。
どれもとてもショッキングで、目を背けたくなるようなものばかりでした。

また、講師の方が強調して仰られていた「鳥は社会性を持った生き物」という言葉も私の胸に突き刺さりました。
本来鳥さんは集団で生活する生き物です。
一羽だけで生き抜いている鳥さんはいません。
でも、家で過ごしている鳥さんは集団で生きるという生活を送っていません。
「鳥を家で飼うということは、鳥から社会性のある生活を奪い取っているということ」
講師の方の仰ることはごもっともでした。
私は我が家で一緒に暮らしているうちの鳥共に対して、社会性のある生活から引きはがしてしまっていることを申し訳なく思いました。

講演を聞き終えて会場を後にする私の心の中は、「鳥さんと一緒に暮らすこと=悪」という考えでいっぱいになっていました。
「鳥さんと一緒に暮らしたい」という自分本位な気持ちによって、鳥さんは社会性のある暮らしを奪われ、なんなら絶滅の危機にまで追いやられている。
「鳥さんと一緒に暮らすだなんて、なんてエゴな考えなんだろう…」
私はなんともいたたまれない気持ちになっていました。

「鳥さんと一緒に暮らすことは、鳥さんにとって迷惑なことなんだろうか…」
「愛すべき鳥さんが幸せであるために、これから私は何をすべきなんだろう…」
帰りながら私は考えました。

鳥さんを社会性のある生活に戻してあげる?
そのためには……例えばうちの鳥共を野生に返す??
いやいや、今さら野生に戻したって生きていけるわけない。
そんな無責任なこと、やるべきではない。

「『鳥さんを飼いたい』と思う気持ちが、鳥さんを不幸にします!
 鳥さんを飼うことはもうやめましょう!」
…って世の中に発信していく?
いやいや、自分は鳥さんと一緒に暮らしておいて、人に「鳥さんを飼うな」なんて言えない。
人に強要できることではないし、言ったとしてそんなの誰も納得して受け入れてくれない。

その後もいろいろ考えました。
「これもやるべきじゃない」、「これも違う」と、出てきたいろいろな考えを排除していきました。
そして、最後に1つだけ残った考えがあります。

それは、「今一緒に暮らしている鳥さんといっぱい関わる時間を持つべき」というものです。

人と暮らしている鳥さんは、鳥さんの社会性からかけ離れた生活を送っています。
それは、私たち人間の「鳥さんと一緒に暮らしたい」といったエゴとも思える欲求から引き起こしてしまっていることなのかもしれません。
そうであるなら、一緒に暮らしている私たちが責任もって鳥さんの社会性を満たしてあげなければ…と思うのです。
「鳥さんとたくさん関わる時間を持って、少しでも鳥さんの社会性を満たしてあげる」
それが、鳥さんと一緒に暮らす人間としてやるべきことなんじゃないかと思うのです。

「鳥さんの社会性」ってハッキリと言葉にして説明するのは難しいですが、私の中では…
・相手とコミュニケーションを取ったり関わり合ったりすること
・仲間と思える相手と過ごすこと
・助け合い、感謝し合い、苦楽を共にすること
…こんなイメージです。
言い換えれば、「鳥さんが鳥さん同士でやっていること」と言ってもいいと思います。
…って、多分多くの方が、言われなくてもそういったことを普段からやってらっしゃるんだと思います。

だから、今のままでいいんだと思うんです。
鳥さんはきっと今の生活でも十分幸せを感じてくれていると思うのです。

ただ、改めて、鳥さんと一緒に生活されている方には「鳥さんは社会性を求めている」ということをちゃんと心に留めておいてほしいな、と思いました。
そういった気持ちを心の片隅でもいいので持ち続けてもらうことで、鳥さんとの接し方が少し変わって、放鳥時間が十分に作ってあげられないときでも、鳥さんがより幸せに感じられるような関わり方ができるようになるんじゃないかと思います。

あと2週間ほどで年末になります。
仕事がお休みになってゆっくりできる時間が増える方もいらっしゃると思います。
お休みはお休みで大掃除や年賀状の用意などなんだかんだ忙しいかもしれませんが、何かと関わって生きるのが大好きな鳥さんのことを想って、年末の時間を使って鳥さんといっぱい関わってあげてください。
きっと鳥さんも、改めてみなさんとの生活を幸せに感じてくれるんじゃないかなと思います。

※音声が出ますのでご注意ください

鳥月 羊

鳥月 羊

伴鳥家(はんちょうか)の鳥月羊です。 小型から大型まで4羽のインコさんと生活しています。 インコさんと一緒に過ごす中で、様々な困りごとを経験してきました。 そしてそれをいろいろな方法で解決して、今ではインコさんととても仲良く暮らしています。 これまでの自分の経験を活かして、インコ好きさんのインコライフをさらに楽しいものにしたい。 インコさんと「生涯の相棒」と呼べるような関係性をゆっくりと楽しんでもらいたい。 そんな気持ちで情報を発信したりイベントを企画したりしています。 「ずっと、いっしょに、生きていく」 生涯の相棒インコと寄り添える生活を愛鳥家さんと一緒にデザインしていきます。

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