前回、前々回で「共同育雛」を取り上げました。
そのお話の中で、「共同育雛で育った鳥さんは堂々とした自信に溢れた鳥さんになる」というお話をしました。
この「鳥さんが自信を持っている状態」はとても大事なことです。
自信を持っていると、何事にも「ま、大丈夫じゃない？」と物おじせずにいられます。
物おじしないということは、なんにでも興味を持って積極的に向かっていけるということです。
お客さんが来てもスッと手に乗ることができたり、初めて見るごはんもすんなり食べることができたり、新しいおもちゃにも興味津々で近づいたりできます。
逆に、自信がない状態だと、基本的に何事にもビビってしまいます。
新しいものに対して恐怖心を感じて、いろいろなことを受け入れることが難しくなりがちです。
このように、鳥さんが自信を持てている方が、鳥さんにとっても飼い主さんにとっても日々の暮らしが過ごしやすいものになります。
冒頭でお話した通り、「共同育雛」で育った鳥さんは、親兄弟との生活の中で自然と自信をつけて育ちます。
では、「共同育雛」以外で育つ鳥さんやすでに立派なおとなになっている鳥さんに自信を持ってもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。
私は、「小さな成功体験を繰り返す」という方法が効果的だと思っています。
人間も同じだと思うんです。
例えば、車の運転に自信がない人が自信を持てるようにするにはどうしたらよいでしょうか。
何時間もかけて長距離をドライブしたり、スピードに慣れるために高速道路を走ったりすることは、自信がつくためには逆効果な気がしています。
慣れていないうちに怖い目に遭ってしまったら、余計に自信が持てなくなってこれまで以上にドライブする気がなくなってしまいます。
そうならないように、まずは難易度の低いところから始めればいいと思うのです。
家のまわりを一周するだけでもいいですし、すぐ近くのスーパーまで車で行ってみるでもいいんです。
ゆっくりのスピードで少しの距離でいいから、「うまくできた！」「何事もなく無事に帰ってこれた！」という成功体験を繰り返す。
そうすることで、「オレ、できるじゃん！」「私、運転うまいんじゃない？」とだんだん自信を持つことができるようになると思うのです。
鳥さんもそれと同じです。
自信を持つために、簡単なことでいいから成功体験をたくさんすることが大事だと思います。
例えば…
飼い主さんが「手に乗って」と言って手を出して、鳥さんが手に乗ってくれたらごほうびをあげる
飼い主さんが「肩に乗って」と言って肩をトントンと叩いて、鳥さんが肩に乗ってくれたらごほうびをあげる
飼い主さんが「はいあげる」と言って手でごはんを差し出して、鳥さんに手から食べてもらう
…といった感じです。
人の手が怖くて手に乗れないとか、そもそも人が怖くて人に近づけない鳥さんであれば…
ケージ越しに鳥さんの名前を呼んで目が合ったらごほうびをケージの中に入れる
ケージ越しに少しでも人に近づけたらごほうびをケージの中に入れる
…という方法で十分です。
必ず成功するくらいの簡単なことでいいんです。
それを何度も繰り返して、たくさんの成功体験を積み重ねる。
そうすることで、鳥さんの中で「ぼく、できるよ！」という気持ちがどんどん高まっていくと思います。
そうやって自信がつけば、いろいろなことに積極的になれたり、少しのことには動じなくなったりと、よい変化が表れてくれると思います。
「人工育雛」で育つ鳥さんだって、すでにおとなになっている鳥さんだって、これから自信をつけることはいくらでもできます。
放鳥タイムのときなどに、鳥さんが小さな成功体験を経験できるような簡単な遊びを取り入れて、鳥さんの自信を高めてあげるということをやってみていただけたらと思います。
※音声が出ますのでご注意ください
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