私が空ちゃんをお迎えして間もない頃、空ちゃんのくちばしの動きが速くて怖さを感じていました。
おとなしくカキカキされているなぁ…と思っていたら急に振り返ってガブッ!ってしようとしてきたりしました。
「空ちゃん、もっとゆっくり動いてくれたらこっちもヒヤヒヤしなくて済むんだけどなぁ」
そんな台詞を空ちゃんに何度言ったか分かりません。
これって、空ちゃんに限ったことじゃないと思います。
鳥さんは急にすごいスピードでくちばしを動かしますよね。
サッ!と振り向き、カッ!とくちばしを開き、ガッ!と噛む。
全ての動きが本当に速いです。
そのため、特に慣れていない鳥さんと接するときは、「いつ噛んでくるかもしれない」という緊張感を持って挑むことになります。
その緊張感とか「急に噛まれるかもしれない=避けきれず痛い思いをするかもしれない」という気持ちが怖さに繋がっていると思うんです。
逆に、ゆっくりのーんびりふわあああ…って口を開けて、ゆーーーっくりくちばしを閉じてくれる、そんな鳥さんがいたらどうでしょう。
カキカキが気に入らなかったときに、ゆーーーっくりこちらを振り返って、「やーーーめーーーろーーーーー」と言わんばかりにくちばしをゆっくり開く……っていう鳥さん。
ちょっと可愛くないですか?
スピードがそこまでゆっくりなら、怖さなんて何も感じないんじゃないかと思うんです。
このように、動作のスピードが速いことは「急に何かされても対処できない」という怖さや緊張感を生むんじゃないかと思います。
反対に、スピードが遅ければ「何かあっても対処できる」という安心感に繋がるんじゃないかと思うのです。
そう考えたときに、私にいつものフレーズが降りてきました。
『鳥さんは人間とおんなじ』
人が鳥さんの急な動きに怖さを感じるのと同じように、もしかしたら鳥さんも、人が何気なくやっている動作のスピードを「速い!」「怖い!」って感じていたりするんじゃないだろうか。
例えば、「おいで」と手を出すときの手のスピードは、鳥さんにとって速くないだろうか。
「カキカキしてあげる」と指を近づけるときのスピードは速すぎないだろうか。
実際にカキカキしているときの指のスピードはどうだろうか。
こちらはいつも優しく鳥さんに接しているつもり。
でも、『動作のスピード』という視点で自分のやっていることを見直したとき、果たしてそれは鳥さんにとって優しい行為なのだろうか…。
そんな風に思ったんです。
そこで試しにトリちゃんと空ちゃんにゆーーーーっくりカキカキしてみました。
そのときの様子は下の動画で見ることができます。
普段のスピードでカキカキしているときと、ゆーーーーっくりカキカキしたときの表情の違いを見てみてください。
もちろん、速く小刻みにカキカキされるのが好きな鳥さんも中にはいると思います。
でも、ゆっくりのんびりカキカキされる方が好きな鳥さんもいるんじゃないかと思うのです。
カキカキに限らず、皆さんが意識せず普通にやっている行動でも、鳥さんは「ちょっと動きが速くて怖いよ」と思っていることもあるかもしれません。
『動作のスピード』という観点で鳥さんの気持ちに寄り添ってみることで、鳥さんとより仲良くなれるようになれることもあるんじゃないかな…なんて思います。
※音声が出ますのでご注意ください