少し前のブログで、「オオハナインコの花ちゃんと仲良くなりました♪」というお話をしました。
今も超仲良しでラブラブです!…と言いたいところですが、実際のところ、以前ほどの仲の良さではなくなっています。
以前は、どんなに身体を触っても、どんなに頭をこねくり回しても、まったく怒らないし反抗することはありませんでした。
ガブガブしてくることはあるけどいつも完全な甘噛みでした。
チュッってしても私の唇を優しくくわえる程度で、くちばしの硬さといったものを感じることはまったくありませんでした。
しかし今は、身体を触ろうとすると近づいてくる手の方を見てクワッ!とくちばしを開いて身構えます。
黒目がギュンギュンと小さくなって、威嚇しているような風貌になります。
噛み方も甘噛みといったレベルではなく、あざが残ったり出血を伴ったりはしないものの普通に痛いと思える強さです。
チュッなんてちょっと怖くてできなくなってしまいました。
そんな花ちゃんですが、先日ちょっと面白いことがあったんです。
花ちゃんと遊んでいるときに、別の部屋に用があることを思い出しました。
放鳥中の花ちゃんから目を離すのもいやだなぁと思って、花ちゃんに肩に乗ってもらって散歩がてら別の部屋に一緒に行こうと思いました。
花ちゃんに肩に乗ってもらい放鳥していたいつもの部屋を出ました。
すると、急に花ちゃんの動きが大人しくなる感じがしました。
「え、ここ、どこ?」
「わたし、こんなところ、知らない」
そんなことを言ってそうな表情でまわりをキョロキョロ不安そうに見ていました。
別の部屋に入ってからもそうでした。
普段ののびのびしている自然体の花ちゃんとは少し違う態度でした。
やはりどこか緊張しているというか怖がっているというか、不安そうな感じが全身から溢れ出ていました。
私はその花ちゃんの様子を見て、ふと花ちゃんの身体を触ってみました。
花ちゃんは素直に触らせてくれました。
花ちゃんの頭の後ろから手で抱きかかえる形でハグしても嫌がりません。
そんな普段とまったく違う態度の花ちゃんを見ていたら、昔の記憶がよみがえってきていました。
それは私が新卒で入社した会社にいたときのシーンでした。
私は配属先の直属の上司が苦手でした。
配属されたばかりのときは右も左も分からない状態だったので、その上司の言うことを真面目に聞いていました。
私からも普通に話しかけ、ときには仕事以外の話をしたりもしました。
ただ、仕事のことであれ世間話的なことであれ、何となくその上司の言葉尻というか会話しているときの空気というか、何か私に合わない感じがしていました。
「この何となく嫌な感じって何だろう…いやでも、オレの気のせいだよね」
「ちょっとクセが強いってだけできっと根はいい人なんだよね」
そう自分に言い聞かせながら毎日の業務をこなしていました。
でも、時間が経つごとにその上司への印象はどんどん悪くなっていきました。
仕事上どうしても会話しなければいけないとき以外は、できるだけ距離を置くようになりました。
自分の作業も上司の席に近い自分の席ではなく、別の作業部屋に移動して基本そこで作業をするようになりました。
そんなある日、仕事でトラブルが発生しました。
私は上司と一緒に現場に駆け付けました。
起こった事象からトラブルが発生した原因を割り出し、それに基づいて対応策を考えました。
そして、早急にとりあえずの応急処置を取ることになりました。
が、私は初めてのトラブルの現場でかなりテンパっていました。
急いで対応しなければならず、そのくせやるべきことが多くあり、私の頭の中はぐちゃぐちゃになっていました。
そんな中、上司は落ち着いた態度でテキパキと仕事をこなしていました。
「鳥月、これやって」
上司は自分の仕事をしつつも、うまく動けていない私に簡潔に作業の指示をしてきました。
その言葉で私は少し落ち着きを取り戻し、上司に言われた作業に着手しました。
そうしてそのときのトラブルはすんなりと解決することができましたが、このときに1つ気付いたことがあります。
それは、普段煙たいなと思っていた上司がとても頼りになる存在だったということです。
上司とはできる限り同じ空間にいたくないし、一緒に仕事をするなんて本当に嫌だって思っていました。
でも、いつもとは異なる環境で自分一人だけでは少し心許ないなと感じているときに、普段煙たく思っていた上司のことを頼っている自分がいました。
トラブルが起こっている状況下でも冷静にしている上司を見て私も冷静さを取り戻せましたし、落ち着いた態度で私に指示を出したり声をかけてくる上司の存在をとても心強く感じたのです。
さて、話を私の昔話から花ちゃんの話に戻しましょう。
普段あまり行かない部屋に連れて行かれた花ちゃんが大人しくなり、私に反抗的な態度を見せなくなったのって、今お話した私のエピソードに近かったりするのかなって思うんです。
普段の慣れ親しんだ環境化では、特に緊張を感じることもなく、花ちゃんはのびのびと暮らせてると思うんです。
「怖いもんなんてないもん!」
「なんだって自分でできるもん!」
「っていうか、私の好きなようにさせてよ!」
心に余裕がある環境化だからこそ、そんな風に強い態度でいられるんじゃないかと思うんです。
それはある意味いいことだと思います。
それだけストレスなく過ごせてるということだと思いますから。
ただ、いつもと違う環境になったときに、いつもとは異なる緊張感を感じて、いつものような強気がどこかに行ってしまうこともあるんだと思います。
そんなときに、いつもそばにいてくれる飼い主さんの存在ってとても大きいと思うんですよね。
まさに、トラブルが発生したときに私が上司のことを心強いと感じたのと同じなんじゃないかと思います。
「ここ、どこ? ちょっと怖い…。
…でも、いつも一緒にいてくれる人がいるから大丈夫」
きっと花ちゃんはそんな風に思ってくれていたんじゃないかと思います。
そういう意味では、あえていつもと違う環境に鳥さんを連れて行ってみるというのは良いことなんじゃないかと思うのです。
私はよく空ちゃんを連れてお散歩に行ったりドライブをしたりします。
そのときの空ちゃんはやはりどこか不安げで落ち着きがありません。
でも、「大丈夫だよ」「オレが一緒だよ」とたくさん声をかけながら過ごすことでだんだんと落ち着きを取り戻してくれます。
そして、お散歩やドライブから帰ったときには、どこかしらいつもより誇らしげな表情を見せてくれる気がします。
空ちゃん以外の子もそうです。
トリちゃんやマメちゃんをキャリーに入れて鳥さんの病院に連れて行ったときも、帰ってきてからの放鳥のときはいつもよりも甘えん坊だったりします。
ずっと手の中に包っていたり、肩に乗ってただただ寄り添っていたりします。
私はそういうトリちゃんやマメちゃんの姿を見て、「今日大変だったけど頑張ったんだよ?」「ドキドキしたから甘えさせて?」って言っているように感じるのです。
不慣れな環境に頻繁に連れて行く必要はないと思います。
ストレスをかけすぎるのは鳥さんにかわいそうですから。
適度に、無理をさせすぎない程度に、たまにいつもと違う環境に鳥さんと一緒に行ってみてください。
お出かけができないのであれば、家の中の普段行かない部屋でもいいです。
鳥さんが少し不安に思うときにそばに一緒にいてあげる。
優しく声をかけてあげる。
そういった経験が鳥さんと飼い主さんの関係性構築を促すんじゃないかなって、私は思います。
※音声が出ますのでご注意ください。