毎週月曜は恒例の空ちゃんとのロトり7の様子をお送りします。
空ちゃんとの抽選の様子は下の方にあります。
InstagramのストーリーズやYoutubeにもありますので、もしよかったら見てみてくださいね。
さて、今回も空ちゃんのくじ引きにはまったく関係のないお話を(もう恒例すぎて驚かれないと思いますが)。
突然ですが、みなさんは「砂の女」(安部公房著)という本をご存じでしょうか。
私は結構前なのですが読みました。
(NHK『100分 de 名著』で取り上げられてて、どうにも先が気になり、4回目の放送を前に買っちゃった感じです)
ざっくりとしたあらすじとしてはこんな感じです。
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂丘の底に埋もれた家に一晩泊めてもらうのですが、そのままそこに閉じ込められてしまいます。
はじめは何とか脱出しようとしていた男ですが、徐々にそこでの生活に順応しつつ、でもやはり自分の自由にならないこの環境にモヤモヤを抱えながら過ごします。
男はその環境から抜け出し自由を手に入れるのか、それとも、その砂の底の環境を受け入れ順応するのか……。
もっと詳しく話したいのですが、あまり言うとネタバレになってしまうので、このへんでやめておきましょう。
私は無知で知りませんでしたが、この作品は戦後の日本文学の最高傑作の1つと謳われ、40か国語以上に翻訳され世界中にファンがいるほどの名著なんだそうです。
実際、非常におもしろいお話でした。
特に最後の10ページくらいは、もう本当にすごいです。
ホント、多くを語りたいのですが……モゴモゴモゴ……。
さて、私はこの「砂の女」を読んで、この本の中で一貫したテーマとして語られているものは「幸せな生き方とは何か?」だと感じました。
上でも書いた通り、この話の主人公である男は砂の底の家に閉じ込められてしまいます。
自分のやりたいことができない、つまり、自由のない環境に置かれてしまいます。
しかし一方で、降り積もってくる砂を掻くという作業をすることで、十分な食料や水は配給してもらえます。
自分の好きなように自由に生きることはとても幸せなことです。
ただ、自分のやりたいように外の世界に出て行ったものの、自分の身の安全を守れる保証なんてどこにもありません。
一方で、自由はないものの安定して食料や水が与えられる環境にいることも、ある意味で幸せなのかもしれません。
自分の身を守れる閉じられた世界にいれば、少なくとも安全で安定が約束されます。
でも、「自由」とは言い難い環境を受け入れることになる…。
「幸せな生き方って何だろう…?」
私はこの「砂の女」を読みながら、そんなことを問いかけられ続けた気がしました。
そして、そうやって自分の生き方を見つめなおすきっかけになったのはもちろんなのですが、私はこの話の男の姿にうちの鳥共を重ね合わせたりもしました。
本来鳥さんは、自由に外の世界を飛び回っていたはずの生き物です。
でも、うちの鳥共は今こうやって私のすぐ近くでケージの中で生活をしています。
そんな鳥共を見ながら、「今のこの状況を、この子たちは幸せって思ってくれているだろうか…」なんて思ったんです。
もちろん、「自由におなり!」と外に放すつもりなんてありません。
それはこの子たちにとって幸せでもなんでもなく、悲しい結末の始まりに過ぎないと思います。
ただ、だからといって、ただただケージの中でぼーっと過ごすのも幸せではないだろうと思うのです。
「この子たちが幸せって思ってもらえるようにするために、私はどうすべきか?」
それはとても難しい問題なんだと思います。
鳥さんは「こうしてほしいよ!」と答えてくれませんから。
でも、「こうしたら幸せじゃない?」「こっちの方が楽しいよね?」と鳥さんの様子を見ながら試行錯誤していくことで、その質問の答えに少しずつ近づいていけるんじゃないかと思うのです。
そして、飼い主さんがそうやって思ってくれていろいろと工夫をしてくれることが、鳥さんを幸せにすることに繋がるんじゃないかなと思います。
この「砂の女」は本当に奥深い素晴らしい作品だと思います。
秋の夜長…という季節には少し遅くれてしまいましたが、もしご興味があれば読んでみてください。
きっといろいろと考えさせられて、あなたの人生に深みを与えてくれると思います。
※音声が出ますのでご注意ください