ヨウムの空ちゃんが発情してしまっているときの様子です。
私に対して発情してくれるということは私のことを好いてくれているということですから、それは飼い主として光栄で嬉しいことです。
ですが、インコさんの発情は好ましいものではありません。
発情状態はインコさんの身体に負担をかけます。
発情が進むと他の病気が誘発されてしまうこともあります。
メスであれば産卵に至ってしまう可能性もあります。
(産卵には多くの体力を必要とし、結果インコさんの寿命を縮めることに繋がると言われています)
なので、発情はできるだけ抑えるべきだと思っています。
発情する原因は以下のようなものがあります。
・季節的なタイミング(温度、湿度の変化)
・光に当たっている時間が長い
・快適すぎる環境
・過度なスキンシップ
・大好きな相手の存在
季節的なタイミングは致し方ないところもありますが、空調や加湿器等で室内を「季節感のない形」にすることである程度抑制することができると思います。
また、鳥さんは光に当たっている時間の長さでも季節を感じます。
夜遅くまで電気の点いている部屋で過ごすことで「日が長いなぁ」と感じて、交尾の季節と思うようになることもあります。
ケージにカバーをかけるなり、インコさんのいる部屋は早めに暗くするなりして、インコさんには早めに寝てもらうのがよいと思います。
快適すぎる環境で過ごすことも発情を促すことになってしまいます。
「こんなに平和で満たされている環境なら、安心して子供が育てられるわ」とインコさんが考えてしまうためです。
インコさんには幸せを感じていてもらいたいですが、あまり過保護に可愛がりすぎるのは発情を促すことになりよくありません。
インコさんはある程度ストレスがある環境で暮らすくらいがよいとも言われています。
「ストレスがある環境で暮らさせる」と聞くとかわいそうな気もしますが、ケージ内のレイアウトを変えたり、ケージの置かれている場所を変えたり、ケージの向きを変えたり、食事の量を減らしたり、食事を食べづらくしたり(=フォレイジング)……といった感じのちょっとしたストレスで十分です。
「なんとなく落ち着かない…子育てするには不安だ…」「自分が食べる分のご飯しかないのに、子供なんて育てられないわ…」とインコさんに思ってもらうことで、発情を抑えることに繋げることができます。
インコさんは求愛行動として相手のくちばしにタッチしたり、相手の羽繕いをするなどスキンシップを持ちます。
交尾のときは相手の背中に乗ったりもします。
なので、それらのポイントに対してスキンシップを取ることで、求愛行動を連想させ発情を促すことになってしまいます。
動画でも空ちゃんがくちばしを私の手にゴシゴシしたりしていますよね。
こういう行動はできるだけ控えさせなければいけません(自戒)。
可愛いインコさんが甘えてきたら「可愛いー!」となってしまう気持ちはめちゃくちゃ分かりますが、あまりベタベタとスキンシップしすぎないように気をつけましょう(自戒しっぱなし)。
繰り返しになりますが、発情は好ましいことではありません。
可愛いインコさんと少しでも長く健康に暮らしたいのであれば、できる範囲で工夫と努力をして発情させないようにすることが大事だと思います。
ただ、この発情抑制、ならびに、インコさんの産卵、繁殖に関しては、本当にいろいろな考え方があります。
少し前にお話した、「幼鳥から迎える? 成長を迎える?」と同じくらい、考え方によって取るべき選択肢も様々です。
「子孫を残したい」というインコさんが本能として持っている気持ちに反して、インコさんのパートナー(つがい)を作らせず、産卵、子育てもさせず、ただ「私(飼い主さん)と一緒に長くいてほしいから」といったエゴで人間の都合のよい飼育をすることは、果たしてインコさんの本当の幸せなのだろうか……と、私自身もよく考え、悩みます。
そして今でも、「これが絶対!」という明確な答えは出せないままでいます。
このあたりも含めて、また別の回でいろいろな面から考え、お話したいと思っています。
※音声が出ますのでご注意ください